絵を描くことその周辺全てを含めて、父は創作そのものが呼吸以上に無意識の日常だった。
俺は寝ている時も仕事をしていると言っていた。家にアトリエと呼ぶ場所は無い。仕事場と父は呼び、家族もそこが仕事場と認識していた。意味合いは同じだろうが生涯1度たりとアトリエなる言い方をしたことがい。制作は集中的に没頭し、短い間に量産する。ひとしきり没頭すると、全く違う何かに意識は完全に切り替わり、再び、新たな作品を量産する。創作とか制作という単語も父の口から聞いたことは無い、仕事だから。
2005年、父75歳のスクラッチボード。これを展示した当時、既に全く違う作品に着手していた父が目を細め微笑む先は若くて健やかにしどけない女性。はいつものこと、しかし、これも仕事だととぼけた顔で父は言った。                                       井上真樹

2023年9月13日(水)~9月24日(日)
12:00~19:00 最終日17:00 月曜休廊

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